京都府レッドリストカテゴリー 絶滅寸前種
環境省レッドリストカテゴリー 準絶滅危惧(NT)
キク科 多年草 花期8~10月
秋の七草の一つで、淡い紅紫色の小さな花が 茎の先に集まる様に咲きます。
刈り取った茎や葉を半乾きの状態にすると、爽やかで快い香りを放ちます。
全草を乾燥させたものは利尿・ 解熱効果があり、生薬としても利用されています。
本州以西の河川の草原などに見られる植物でしたが、河川改修などにより生息適地を追われ個体数が減少しています。
同じ野の露にやつるる藤袴 あはれはかけよ かごとばかりも ― 第三十帖 藤袴 ―
● 京都市右京区水尾地区について
写真撮影地である京都市右京区水尾地区は、JR保津峡駅から4km、愛宕山(924m)の南西に位置します。急な坂道や石垣、水尾川にかけて広がる棚田が水尾の特徴的な風景と言えるでしょう。また、水尾天皇とも呼ばれた清和天皇(850~880年)ゆかりの地としてしられ、かつては山城と丹波を結んだ交通の要所として栄えました。水尾では江戸時代より柚子の栽培が行われ、香り高い柚子が特産品として知られています。
● 水尾での藤袴の栽培について
平成22年より、右京区環境パートナーシップ事業として「水尾の自然環境を生かし、休耕田を花いっぱいにしよう!」という取組が行われ、原種の藤袴を増やす試みが始まりました。今では植栽面積は田んぼ4反分に広がっています。地元の人達の手入れのおかげで、秋には満開の花畑がみられます。またその頃、この花の香りに引き寄せられて、渡り蝶であるアサギマダラの群れが飛来します。今では花畑と蝶を鑑賞するために、たくさんの人が訪れる様になりました。
● 香料としてのフジバカマについて
休耕田に地植えしたフジバカマは、そのままだと背丈が大きくなりすぎ、自重で倒れてしまいます。花芽がつく前、6~7月頃に一度剪定をしておくと、植物にとって負担のない背丈で花の観賞時期を迎えられます。この手入れで刈り取ったフジバカマの葉を乾燥させると、香料のひとつとして活用することができます。刈り取ってすぐの葉は青々とした香りですが、乾燥が進むにつれて、徐々に甘さのある桜餅のような香りに変化します。その後、さまざまな香料と調合することによって奥深い香りを作り出すことができます。