香りについて自由に表現する
エッセイのコンテストです。

エッセイコンテスト
「香・大賞」

香りエッセイを未来に

心の中に
聴こえるものを音楽に
視えるものを絵画に
文化として記憶してきた私たち
香るものに響く心を
言葉で表現してみませんか
古のやまとうたのように
SNSでつぶやく誰かの言葉のように
香りエッセイは
香りに響く心を言葉に託して
未来に届けます

審査員の紹介

  • 鷲田 清一
    (哲学者)
  • 池坊 専好
    (華道家元池坊 次期家元)
  • 澤西 祐典
    (作家・文学研究者)
  • 畑 正高
    (松栄堂 社長・実行委員長)

審査風景から

 「香・大賞」はおかげさまで40周年を迎えました。日々の暮らしの中で、香りへの意識を高めてもらえればと募集を開始したのが1985年。以来、香りを感じる環境は常に変化していますが、毎年多くの作品が寄せられ、今年は1,930点のご応募をいただきました。
 全体の傾向としては、これまで同様に身近な生活の香りを表現した作品が多く見られるなか、個人の生死にかかわるような、生きものとしての根源的な香りを放つ作品も見受けられました。新聞や書物など旧来のメディアで活字に触れてきた世代と、パソコンやスマホなどデジタルデバイスで育った世代ではあきらかに表現のしかたや考え方の構造そのものに違いがあるように感じられます。それは今後新しいエッセイのかたちが生まれる過渡期のようにも思え、「香・ 大賞」においてもこれからの進展が大いに期待できるところです。
 金賞受賞作品の「名医の処方」は、結核を患った作者が社会に取り残されたと感じていたとき、医者の機知に富んだ一言で花を買い、心の霧が晴れる作品。淡々と綴られる文章の中に、香りに心を動かされる様子がしっかりと描かれています。素直で美しい表現がその光景をより印象的に浮かび上がらせます。
 今回はエッセイでありながらもどこか物語性を感じる作品が多くありました。読み手が出会ったことのない香りも、エッセイ表現の技術の高さであたかも経験したかのようにみずみずしい香りとして読める作品もありました。時代の変化とともに文芸ジャンルの境界も超える可能性にあらためて「香・大賞」のおもしろさを感じます。
 コミュニケーション・ツールの技術の進歩により視聴覚的には遠く離れていてもすぐに繋がることができるようになりました。香りにおいてはいまだその物理的な距離を超えられず時には思いが伝わらないもどかしさもありますが、40年を経たいまも香りは直接的な出会いを必要とすることにあらためてその魅力を感じた「香・大賞」となりました。 入賞作品の発表
主催
「香・大賞」実行委員会・香老舗 松栄堂
後援
環境省・日本経済新聞社 大阪本社