香りについて自由に表現する
エッセイのコンテストです。

エッセイコンテスト
「香・大賞」

香りエッセイを未来に

心の中に
聴こえるものを音楽に
視えるものを絵画に
文化として記憶してきた私たち
香るものに響く心を
言葉で表現してみませんか
古のやまとうたのように
SNSでつぶやく誰かの言葉のように
香りエッセイは
香りに響く心を言葉に託して
未来に届けます

審査員の紹介

  • 鷲田 清一
    (哲学者)
  • 池坊 専好
    (華道家元池坊 次期家元)
  • 澤西 祐典
    (作家・文学研究者)
  • 畑 正高
    (松栄堂 社長・実行委員長)

審査風景から

 新型コロナウイルスの行動制限が緩和された中での募集・審査となりました。ご応募くださった1952作品の中で、コロナ禍での生活を描いた作品は少なくなり、人やものごとと直接関わる香りを表現した作品が増え、日常生活や社会が再び動き出した様子をみることができます。
 全体の傾向としては、香りそのものを表現するだけではなく、香りを介した関係から生まれる繊細な心情を表現したものが多く見受けられました。また、着眼点や描かれ方に深さが感じられ、リアルな体験をどこまで幅をもたせて表現するのか、2度3度読むと印象が変わる作品に、あらためてエッセイの面白さや難しさを見つめ直すことができました。
 金賞作品「いのちを嗅ぐ」は、生活の中で匂いを捉えにくいと気づいた作者が、結婚、妊娠、出産を経て、一度は命の危険に晒されたわが子から世界に満ちる様々な匂いを教えられる作品です。どうしようもない不安から最後は子どもが安心をもたらしてくれるドラマチックな構成は、銀杏やカレーなどの日常の香りとのコントラストもあり「いのちが繋がっていること」のすばらしさを伝えてくれました。
 入賞作品においては、鼻が利かない・鼻が慣れるといった嗅覚の状態に焦点を当てた作品がありました。母子がお互いをいたわりながら、繊細な関係を紡ぎ出している作品も印象的でした。また、1行目で読者を引きつける工夫が感じられる作品もあれば、ふくよかで素直な表現に共感することもできました。
 1人で行動することや1人世帯が増えるなど、家族像が変わりつつあるからこそ、人と人とが関わることの濃密さは増しているように思います。これからの人間関係を語る上で香りの果たす役割の大きさをより強く感じることのできた 「香・大賞」となりました。 入賞作品の発表
主催
「香・大賞」実行委員会・香老舗 松栄堂
後援
環境省・日本経済新聞社 大阪本社