香りについて自由に表現する
エッセイのコンテストです。

エッセイコンテスト
「香・大賞」

香りエッセイを未来に

心の中に
聴こえるものを音楽に
視えるものを絵画に
文化として記憶してきた私たち
香るものに響く心を
言葉で表現してみませんか
古のやまとうたのように
SNSでつぶやく誰かの言葉のように
香りエッセイは
香りに響く心を言葉に託して
未来に届けます

審査員の紹介

  • 鷲田 清一
    (哲学者)
  • 池坊 専好
    (華道家元池坊 次期家元)
  • 澤西 祐典
    (作家・文学研究者)
  • 畑 正高
    (松栄堂 社長・実行委員長)

審査風景から

 一昨年から続く、新型コロナウイルスの影響下での募集・審査となりました。今回ご応募いただいた1,924作品は、これまでの人生を振り返るような作品は少なくなり、リアルタイムの生活の香りと結びついた作品が増えました。コロナウイルスの影響が長引く中、暮らしを見つめて新しい価値を模索する時間が増えてきたのではないでしょうか。
 全体の傾向としては、花や食べ物など直接的な香りが多く、多彩になったと感じることができました。また、世代の違いも窺え、年配世代は堅実な構成で、伝えたい香りを細やかに描写した作品が多い一方、若い世代はSNSなどインターネットの影響か、感覚的でシンプルな構成に、香りもさらりと表現した作品が多く寄せられました。
 金賞作品「金木犀の庭」は、金木犀の小さい花がファンタジーのように多彩に表現されています。今はないその金木犀が鮮明に蘇るほどの香り、かけがえのない思い出と今をつなぐ様子は、まさに香りの力を感じさせるものでした。
 入賞作品は母子やパートナーとの関係・香りが引き出す思い出などのテーマで、個人的な経験ではあるものの、綴られた香りは世相を映し出しているようです。同時に、その香りの対象がいつかは失われることも踏まえた、香りの記憶としてのアーカイブ的な役割を果たしていくように思われます。今後、行動制限の緩和に伴い感情や経験がリセットされ、自らをとりまく香りに、あらためて人がどう出会い、どう感じていくのかを楽しみにいたします。
 引き続き、作者の経験による情感を、800字を存分に使いながら、読み手の共感を得られる執筆を期待しています。
 エッセイにおいて、香りに向き合うことは言葉に向き合うことであるとあらためて感じることができた「香・大賞」となりました。 入賞作品の発表
主催
「香・大賞」実行委員会・香老舗 松栄堂
後援
環境省・日本経済新聞社 大阪本社