香老舗 松栄堂

野萱草 ノカンゾウ

野萱草 ノカンゾウ

京都府レッドデータブック カテゴリー 絶滅危惧種
環境省レッドデータブック カテゴリー なし

ススキノキ科 多年草 花期7~8月

ノカンゾウは、ススキノキ科の種子植物で湿田の畦道などに自生します。本州以南に点々と分布しており、国外では朝鮮半島から中国大陸北部に生息しています。花は昼間だけ咲く1日花で、結実することはまれです。また、外来種であるヤブカンゾウに似ていますが、根茎は短く、花は一重です。

中国に生息する本種の仲間は本萱草(ホンカンゾウ)と呼ばれ、それと区別するために野萱草(ノカンゾウ)と呼ばれるようになりました。

近年、生息地の環境変化や造成工事、園芸採集によって個体数が減少しています。種を守るためには、田の畦や堤防といった生息地保全や、稀少種であることの周知、工事前の事前調査等を行う必要があります。



片栗 カタクリ

片栗 カタクリ

京都府レッドデータブック カテゴリー 絶滅危惧種
環境省レッドデータブック カテゴリー なし

ユリ科 越年草 花期3~4月

カタクリは山野に生えるユリ科の多年草です。高さ15センチほどの茎の先に、直径4~5センチの紅紫色の花を咲かせます。葉は淡緑色で表面に紫色の斑紋がありますが、生息地によってはまったく斑紋のないものもあります。

カタクリという名前の由来には、花が咲く前の片葉に、鹿の子模様が入ることから「片葉鹿の子」となり、それが「カタカゴ」「カタクリ」に転訛したという説があります。また、カタクリの鱗茎(地下茎の一種)からは澱粉を取ることが可能で、これが純粋な片栗粉です。

カタクリは自生地の植生変化に伴う照度不足や、シカやイノシシの食害によって減少しており、2022年京都府レッドリスト改訂版に、新たに絶滅危惧種として追加されました。減少を防ぐためには、間伐による日照改善や動物の食害を防ぐための保護策等の設置が必要です。



犬の陰嚢 イヌノフグリ

犬の陰嚢 イヌノフグリ

京都府レッドデータブック カテゴリー 絶滅危惧種
環境省レッドデータブック カテゴリー 絶滅危惧II類(VU)

撮影地 京都市北区雲ヶ畑

オオバコ科 越年草 花期3~4月

イヌノフグリは、オオバコ科の越年草で石垣などに生えます。茎は下部で枝分かれし、地面に張り付くように広がります。葉の両面には毛があり、茎上部の葉のわきに花を1個つけます。

花は直径3~4mmと小さく、ピンク色です。花の後にできる実は4~5mmほどの大きさで、その形が「犬の陰嚢(ふぐり)」に似ていることから、この名前が付けられました。

春になると道端でよく見かけるオオイヌノフグリは、明治中頃に渡来した外来種です。イヌノフグリと比べると、花が大きく青い色をしています。

イヌノフグリは北海道から沖縄まで広く生息していますが、近年生息地の改変や気候の変化により減少しています。
自生地の定期的な点検や、工事関係者への周知が必要です。



麝香草 ジャコウソウ

麝香草 ジャコウソウ

京都府レッドリストカテゴリー 準絶滅危惧種
環境省レッドリストカテゴリー なし

シソ科 多年草 花期8~9月

ジャコウソウは、シソ科の多年草で山地の湿った半日陰地に生えます。茎の高さは60~100cmになります。葉は長さ10~20cmほどの長楕円形になり、葉の縁は荒い鋸歯状です。8~9月になると葉腋ごとに赤紫色の花が2、3個つき、茎に連なるように咲きます。

全草からわずかに芳しい香りがするため、香料の一種である麝香(ジャコウ)にちなみ名付けられたと考えられています。

ジャコウソウは植生の推移、園芸目的の採集、森林の暗化によって減少しています。稀少植物としての周知と日照改善を行い、生息環境を保全する必要があります。



紅花山芍薬 ベニバナヤマシャクヤク

紅花山芍薬 ベニバナヤマシャクヤク

京都府レッドリストカテゴリー 絶滅寸前種
環境省レッドリストカテゴリー 絶滅危惧Ⅱ類(VU)

撮影地 京都市北区雲ヶ畑

ボタン科 多年草 花期4~6月

ベニバナヤマシャクヤクは落葉樹林内や林縁などに生える多年草です。
本州、四国、九州地域にかけて分布します。

茎の高さは30~80cmまで成長し、葉は2回3出複葉で互生します。花の色は淡紅色から白色まで差がありますが、京都府内の個体には白色が多く見られます。ベニバナヤマシャクは、ヤマシャクヤクよりも開花が遅く、草丈が高くなり、花の大きさは小ぶりです。どちらの花も半開後3日ほどで開き切ったのち、落弁します。

減少の背景には、園芸用の採集や森林の暗化があり、生息地である山林を保全する活動が必要です。



雛菫 ヒナスミレ

雛菫 ヒナスミレ

京都府レッドリストカテゴリー 絶滅危惧種
環境省レッドリストカテゴリー なし

スミレ科 多年草 花期4~5月

ヒナスミレは山の木陰に生える多年草です。
北海道南部から九州中部にかけて分布します。

葉は、長さ3~6センチの三角状卵形で、先は尖り、基部は心形に深く湾入します。
葉の縁には波型の粗い鋸歯があり、裏面は紫色を帯びます。

花は淡紅色で、径1.5センチほどの大きさになります。花期は早く、他のスミレに先駆けて咲きます。
ヒナスミレという名前は、その繊細で愛らしい姿から名付けられたと言われています。

減少の背景には、造成工事、森林開発、園芸採集などがあるため、生息地である山林を保全する活動が求められています。



節分草 セツブンソウ

節分草 セツブンソウ

京都府レッドリストカテゴリー 絶滅危惧種
環境省レッドリストカテゴリー 準絶滅危惧(NT)

キンポウゲ科 多年草 花期2~3月

早春に芽を出し夏には地上部が枯れる多年草です。
日本の固有種で山地の木陰などに群生し、石灰岩地や緑色岩地に見られる傾向があります。葉、花茎ともに球状の地下茎から出ます。根から直接出ているように見える葉は5~10cmの柄があり、3つに分かれさらに羽状に細裂します。
茎の先端に輪状につく苞葉の中心から、1cmぐらいの花柄を1本直立させ、その先に白色でかわいらしい花を1個つけますが、花弁状に見えるのは5枚の萼片です。
節分草の名前は開花時期に由来します。節分とは新暦の2月4日頃で、旧暦では今でいう3月半ばにあたります。

地域的には個体数の多いところがありますが、生育地が限定されており、園芸目的の採集や道路の拡幅工事、生息環境を構成する植物種の移り変わりのため、近年減少しています。



犬升麻 イヌショウマ

犬升麻 イヌショウマ

京都府レッドリストカテゴリー 準絶滅危惧種
環境省レッドリストカテゴリー なし

キンポウゲ科 多年草 花期8~9月

イヌショウマは、森林内や林縁に生える多年草です。
小葉は五角形状をなし、花茎は葉とは別に地際から出、その蕾は丸く、淡紅色です。
8~9月に咲く花は直径約4mmで、白色からピンクで無柄、長い穂状花序に多数つきます。
イヌショウマという名前の「イヌ」は「否」にあたり、「擬(もどき)」に近い意味とされています。山菜として葉が食べられたり、根茎が生薬として利用されるサラシナショウマに対して、イヌショウマの葉や根茎は利用されません。サラシナショウマに似ているが異なるという意味で、イヌショウマと名付けられたと考えられています。

北海道、関東から近畿にわたる本州、朝鮮半島、中国大陸に生息していますが、近年は生息数を減らしています。減少の原因は森林伐採による可能性があり、工事施工前には、事前調査を入念に行い生息地を守る必要があります。



檜扇 ヒオウギ

檜扇 ヒオウギ

京都府レッドデータブック カテゴリー 準絶滅危惧種
環境省レッドデータブック カテゴリー なし

アヤメ科 多年草 花期8~9月

日当りの良い山野の草地に自生し、黄赤色に暗紅点のある花をつけます。
その名は、葉の出方が檜扇(ヒノキの薄板を重ねた扇)に似ていることに由来します。

7月の祇園祭の間、京の鉾町の家々でヒオウギを飾る習慣があります。
実は秋に熟し、割れると中から光沢のある黒い種子が現れます。この種子は、「烏羽玉(うばたま)」や「射干玉(ぬばたま)」と呼ばれます。
万葉集では、花を詠ったものはありませんが、「ぬばたま※」は黒髪や夜など黒いものや闇を連想させる枕詞として使用されています。
(※ ぬばたまの漢字は奴婆玉や野干玉など複数あります。)

また、ヒオウギの根茎を乾燥させたものは「射干(やかん)」という生薬で、喉の腫れや痛みに効果があるとされています。
古くから観賞用として栽培もされてきたヒオウギですが、土地開発が進む中で、海岸の草地と海岸林内の限られた自生地のみが残されています。



叡山菫 エイザンスミレ

叡山菫 エイザンスミレ

京都府レッドデータブック カテゴリー 絶滅寸前種
環境省レッドデータブック カテゴリー なし

スミレ科 多年草 花期4~5月

エイザンスミレは、沢沿いの樹林内や林縁などに生える多年草です。

茎の高さは5~15センチになります。
花は直径2センチほどで、白色から淡紅色まで個体差があります。
花時の葉は深く3裂し、裂片はさらに細かく裂けますが、
花後に出る葉は幅広く、3小葉になります。

エイザンスミレは、
京都と滋賀にまたがる比叡山(ひえいざん)に由来し、
そこで初めて発見された、もしくは多く生息していたことから、
名付けられたと考えられています。

生息範囲は、本州、四国、九州と広いですが、
園芸採集、シカの食害、森林の乾燥化によって減少しています。



麝香草 ジャコウソウ

麝香草 ジャコウソウ

京都府レッドデータブック カテゴリー 準絶滅危惧種
環境省レッドデータブック カテゴリー なし

シソ科 多年草 花期8~9月

ジャコウソウは、シソ科の多年草で山地の湿った半日陰地に生えます。
茎の高さは60~100cmになり、8~9月に赤紫色の花を咲かせます。
葉は長さ10~20cmほどの長楕円形になり、葉の縁は荒い鋸歯状です。

全草からわずかに芳しい香りがするため、香料の一種である麝香(ジャコウ)にちなみ名付けられたと考えられています。

本ポスターに掲載したジャコウソウは、花と葉を落とした冬の姿です。山が静まる頃、種子はゆっくりと熟し次の季節に備えます。その秘めた生命力を、花とは異なる佇まいに感じ取って頂ければ幸いです。

ジャコウソウは植生の推移、園芸目的の採集、森林の暗化によって減少しています。稀少植物としての周知と日照改善を行い、生息環境を保全する必要があります。



女郎花 オミナエシ

女郎花 オミナエシ

京都府レッドデータブック カテゴリー 準絶滅危惧種
環境省レッドデータブック カテゴリー なし

スイカズラ科 多年草 花期8~10月

オミナエシは秋の七草の一つとして数えられます。
日当たりの良い湿性地に自生し、茎は直立して高さ60~100cmほどになります。
葉は2枚が対になって1つの節から生え、羽状に深く裂けます。
花冠は黄色で、茎の頂部には3~4mmの花をドーム状に付けます。
根は敗醤(はいしょう)と呼ばれ、漢方薬として利用されます。

オミナエシという名前の由来には諸説ありますが、一説では「"をみな"は古語で女、
"へし"は圧しで圧倒するという意味である。女にも勝る美しさがあることから由来
する」と考えられています。
(高橋勝雄, 『野草の名前 春 和名の由来と見分け方』山と溪谷社, 2018年, p.67)

ポスター下部に咲く白い花はオトコエシです。
オミナエシと同じスイカズラ科に属しますが稀少植物には分類されていません。オミナエシよりも大きく、しっかりとした立姿をしています。

オミナエシは、草地開発、道路工事、薬用・観賞用の採集などによって年々減少しています。稀少植物としての周知と草刈りによる日照改善を行い、生息環境を保全することが重要です。



細葉小車 ホソバオグルマ

細葉小車 ホソバオグルマ

京都府レッドデータブック カテゴリー 絶滅寸前種
環境省レッドデータブック カテゴリー 絶滅危惧Ⅱ類(VU)

キク科 多年草 花期7~10月

ホソバオグルマは、湿地に生えるキク科の多年草です。
日本では本州と九州に生息します。

茎の長さは20~60cmになり、7月~10月に黄色い花を咲かせます。
葉の幅は6~10mmほどで、細長い形状をしています。
花が牛車の車輪に似ていることから名がついた「オグルマ」に比べ、
「ホソバオグルマ」は茎葉が細く、頭花も小さいです。

湿地の開発、田畑の整備、除草剤の散布により個体数が減少しています。
安定した湿地では、地下茎を伸ばして群生することが多いため、
湿地の自然環境を維持する必要があります。



東国鯖の尾 トウゴクサバノオ

東国鯖の尾 トウゴクサバノオ

京都府レッドデータブック カテゴリー 準絶滅危惧種
環境省レッドデータブック カテゴリー なし

キンポウゲ科 多年草 花期4~5月

トウゴクサバノオは、山地の沢沿いなどに生える多年草です。

茎の高さは10~20cmになり、葉は複葉で小葉は3~5個あります。
花の直径は6~8mmほどで、花弁のように見えるのは萼片で、
花の中心近く、鮮やかな黄色で小さな軍配形をしているものが花弁です。
花後には、竹とんぼのようなT字形の実をつけ、それが鯖の尾びれに似ていることから、「サバノオ」と呼ばれるようになりました。

トウゴク(東国)と名がついていますが、本州、四国、九州に分布しており、
とりわけ関東に多いというわけではありません。
広範囲に生息していますが、個体数は少なく、
谷沿いの林道や歩道の開設により年々減少しています。



福寿草 フクジュソウ

福寿草 フクジュソウ

京都府レッドリストカテゴリー 絶滅寸前種
キンポウゲ科 多年草 花期2~4月
環境省レッドリストカテゴリー 準絶滅危惧(NT)
※ ミチノクフクジュソウとして

フクジュソウはキンポウゲ科の多年草で、西日本に少なく、
北海道や東北などに多く自生しています。
高さ15~30センチほどになり、落葉樹林や雑木林の林床に群生し、
早春2月から4月にかけて、4センチ程の黄色い花を咲かせます。
蜜を持たず、花の中央部に日光の熱を集めて虫を誘います。
葉は先端が細かく裂けた羽状になっており、全草に毒があります。

花期が旧暦の正月にあたることから、江戸時代の頃より正月飾りにも用いられ、
「福告ぐ草」、「告ぐ」がさらにめでたい「寿」となり、
「福寿草」と呼ばれるようになりました。
園芸品目的の採取や自生地の植生変化に伴う照度不足によって、個体数が減少しています。
現在京都府内では、京都市周辺域および丹後地域でしか生育が確認されていません。



松毬薄 マツカサススキ

松毬薄 マツカサススキ

京都府レッドリストカテゴリー 絶滅危惧種
環境省レッドリストカテゴリー なし
カヤツリグサ科 多年草 花期8~10月

マツカサススキは、湿地、溜池のほとりなど、
日当たりの良い湿った場所に生えます。

多年草で高さ1~1.5mほどになります。
茎は鈍い三角形で5~7個の節をつけ、葉は幅4~8mmの線形になります。

8~10月頃、茎の先や葉の付け根から花序(かじょ)を出し、
10~20個の小さな花が集まった花穂(かすい)をつけます。
この花穂の姿が、松毬(まつかさ)に似ていることから、
マツカサススキという名前がつきました。

本州、四国、九州に生息が確認されていますが、
湿地開発、溜池の埋立などにより、生息地、個体数ともに減少しています。
対策として、湿地等の開発や改修に先立って、
詳細な生物調査を行う必要があります。



桔梗 キキョウ

桔梗 キキョウ

京都府レッドリストカテゴリー 絶滅寸前種
環境省レッドリストカテゴリー 絶滅危惧Ⅱ類(VU)
キキョウ科 多年草 花期8~9月

キキョウは、日当たりの良い山野の草地に自生します。
高さ50~100cmほどになり、葉は鋸葉のある楕円形で、
茎に対して交互に付きます。
8~9月頃、茎の先が分岐し、つぼみを1個~数個つけます。
花は星形で、直径4~5cmの青紫色になります。
根は太く黄白色をしており、多肉質で薬用とされます。

名前の由来は、中国名で「桔梗」と書き、
これを音読みして「キチコウ」と呼んでいたのが、
次第に「キキョウ」へと変化したと言われています。
また、「阿利乃比布岐 -ありのひふき-」という日本の古名もあります。
一説では、花の中心にある花柱を、火おこしに用いる火吹き竹に見立て、
とても小さい火吹き竹の意味で、「蟻の火吹き」と表現されたそうです。

主な減少理由には、園芸用や薬用としての採取、
生息環境を構成する植物種の移り変わりなどがあります。
対策として、野生品種は稀少であることを周知するとともに、
絶滅のリスクを考慮し、種子の保存を検討する必要があります。



雪笹 ユキザサ

雪笹 ユキザサ

京都府レッドリストカテゴリー 準絶滅危惧種
環境省レッドリストカテゴリー なし
キジカクシ科 多年草 花期5~6月

ユキザサは林床のやや湿った草地に生える多年草です。
茎は高さ20~60cmほど、葉は長さ6~13cmほどになり、
茎に対して2列の葉が交互に付きます。
5~6月なると、小さな花が茎の先に円錐状に付き、
秋には直径5~7mmの果実が赤く熟します。
ひとつひとつの花には、長さ3~4mmの花びらが6枚ついていますが、
この花の色が雪を連想させるほど白く、また葉の形が笹に似ることから、
雪笹と呼ばれるようになりました。

日本での生息地は北海道、本州、四国、九州と広く分布していますが、
生息地の数自体は多くありません。
また、シカによる食害も深刻なため、保全のためにはシカ除けの保護柵等の対策が必要です。



宿木 ヤドリギ

宿木 ヤドリギ

京都府レッドリストカテゴリー 絶滅危惧種
環境省レッドリストカテゴリー なし
ビャクダン科 常緑小低木 花期2~3月

ヤドリギはその名の通り、別の木に宿って(寄生して)生きている植物です。
冬に葉を落とすエノキ、ケヤキ、サクラなどの落葉樹の大木に寄生しています。
スギやヒノキなどの針葉樹には寄生しません。
宿主の幹に寄生根をくいこませ、養分や水分を吸い取って成長します。
宿主の葉が生い茂っているときは隠れていますが、冬になり、葉が落ちるとその姿を現します。
11~12月頃に、直径6ミリほどの半透明の果実を付けます。
熟すと淡い黄色になり、果肉はほのかに甘く粘り気があります。
野鳥が実を食べて、そのフンが宿主に付着することで寄生先を拡大します。
稀に河川沿いや公園の樹木に見られますが、自然の森林にはほとんど生息していません。
2019年2月頃、本写真のエノキに寄生していたヤドリギは、
稀少植物とは気づかれずに宿主木ごと伐採されてしまいました。
保全対策として、引き続き伐木等の作業従事者の意識を高めていく必要があります。



雁金草 カリガネソウ

雁金草 カリガネソウ

京都府レッドリストカテゴリー 準絶滅危惧種
環境省レッドリストカテゴリー なし
シソ科 多年草 花期8~9月

谷沿いの湿った草地に生える多年草です。
高さは1メートルほどになり、四角の茎が上部で分岐し、
枝先に青紫色の花をつけます。
花弁は5裂して、下側の1枚だけが反り返って少し長くなります。
雄しべ4本と雌しべは、花から大きくつき出るようにして弓形に伸びます。

名前の由来には、その特徴的な花の形が、雁の飛ぶ姿に似ているという説や、
家紋の一種である「結び雁金」に見立てた、など諸説あります。

株全体に独特のにおいがあるため鹿による被害はありませんが、
園芸目的の採集や、林道の新設・拡幅により近年減少しています。



柿蘭 カキラン

柿蘭 カキラン

京都府レッドリストカテゴリー 準絶滅危惧種
環境省レッドリストカテゴリー なし
ラン科 多年草 花期6~8月

日当たりの良い湿地や田の淵などに生える多年草です。
光合成を行い自ら栄養を作ることはできますが、
菌根菌からも栄養をもらわないと生きていけないため
移植や栽培が難しい種です。

高さは30~70cmで、茎の中ほどより上に5~10枚の葉が互生し、
上に行くにつれて次第に小さくなり、苞葉へと変わります。
葉は長さ7~12cmの狭卵形をしており、葉脈による起伏が目立ちます。

茎の先に橙黄色の花が10個ほどつき、下から順に咲きます。
この花の色が、柿の実に似ていることから「柿蘭」と呼ばれるようになりました。
花の唇弁は内側に紅紫色の斑紋があり、関節によって上下2唇に分かれます。

北海道、本州、四国、九州、奄美と広く分布していますが、園芸目的の採集や開発行為、湿地を構成する植物種の移り変わりのため、近年著しく減少しています。京都府レッドデータブックでは、2015年版から準絶滅危惧種へと選定されました。



山吹草 ヤマブキソウ

山吹草 ヤマブキソウ

京都府レッドリストカテゴリー 絶滅寸前種
環境省レッドリストカテゴリー なし
ケシ科 多年草 花期4~6月

ヤマブキソウは山地の木陰に生える多年草で、
林縁や疎林内によく見られます。
花茎の高さは40cm程になり、上部に2~3枚の茎葉が付きます。
花は明るい黄色で、花弁は4枚、花の直径は4~5cm程になります。
花の色や形が、一重咲きのヤマブキに似ているため、この名前がつきました。
しかし、名前の由来になっているヤマブキは、花弁が5枚で、
バラ科に分類されるため、実はまったく異なる植物です。

園芸目的の採取や、周囲の環境を構成している植物種の移り変わりによって減少しており、現在京都府下での自生地は、南部地域の一部にわずかに残っているだけです。



蛸の足 タコノアシ

蛸の足 タコノアシ

京都府レッドリストカテゴリー 絶滅寸前種
環境省レッドリストカテゴリー 準絶滅危惧(NT)
タコノアシ科 多年草 花期8~9月

タコノアシは沼、河原、水田跡など、湿地に生える多年草です。
茎は直立し高さ30~85㎝にまで成長し、無毛で、通常淡紅色を帯びます。
葉は茎に1枚ずつ交互に付き、平たくて細長い形をしています。
茎の先や葉のわきから花序の枝を数本伸ばし、
上側に黄白色の小さな花を多数つけます。
花序の枝は、はじめ渦巻状ですが、果期には立ち上がって四方に開きます。
秋には全草が赤く色づき、その色や姿が足を広げたタコの姿に似ているため、
この名前がつけられました。

減少の背景には、河川改修や湿地の埋め立てといった生育環境の変化に加え、
釣り人の踏みつけも一因になっています。
保全のためには、生息地の把握をはじめ、
生育環境の維持と創出を行なっていく必要があります。



大狐の剃刀 オオキツネノカミソリ

大狐の剃刀 オオキツネノカミソリ

京都府レッドリストカテゴリー 要注目種
環境省レッドリストカテゴリー なし
ヒガンバナ科 多年草 花期8月

オオキツネノカミソリはキツネノカミソリの変種で、山野に生える多年草です。
森林の植物ですが、あまり暗いところには見られません。

キツネノカミソリとオオキツネノカミソリは姿が非常によく似ています。
どちらも春に葉を出しますが、オオキツネノカミソリの葉の方がほんの少し幅広です。
花の大きさもオオキツネノカミソリの方が少し大きいですが、
個体変異もありそれだけでは判別が困難です。
最もわかりやすい違いは雄しべで、キツネノカミソリの雄しべが花びらよりも短い一方、オオキツネノカミソリは花びらよりも長く突き出ています。

キツネノカミソリという名前の由来には諸説あり、
細長い葉の形が剃刀に似ているというものが一般的ですが、鮮やかな花の色がキツネ色であることや、その色が「狐火」を連想させる、など様々です。

周囲の環境を構成している植物種の移り変わりに伴い、消滅する自生地も見られています。2015年版京都府レッドデータブックでは、今後の動向を注目すべき「要注目種」として新たに登録されました。



百合山葵 ユリワサビ

百合山葵 ユリワサビ

京都府レッドリストカテゴリー 準絶滅危惧種
環境省レッドリストカテゴリー なし
アブラナ科 多年草 花期3~5月

ユリワサビは小型の多年草で、乾燥と強い日差しを嫌うため、山地の谷沿いや湿気の多い森林に自生します。
根元から長い柄を持つハート形の葉が生え、縁はノコギリの刃に似た形をしています。茎からも同じような形の小さな葉が生えます。
葉の柄の部分は冬になっても残り、その根茎を包む姿が百合根に似ていることからこの名が付きました。
開花時期は3~5月で、へら型をした4枚の白い花弁が十字状につきます。
ワサビの仲間であるユリワサビですが、その姿は小ぶりで、根塊もあまり大きくならないため、すりおろして使われることはありません。
山菜として利用する場合は、根茎や葉を刻んで酒粕漬けにしたり、天ぷらやサラダ、お浸しなどで頂けます。
自生する環境が限られているため、森林伐採や林道の開設によって個体数が減少しています。
保全のためには、絶滅の危機に瀕する日本の固有種であることを広く知ってもらう必要があります。



唐橘 カラタチバナ

唐橘 カラタチバナ

京都府レッドリストカテゴリー 絶滅寸前種
環境省レッドリストカテゴリー なし
サクラソウ科 常緑小低木 花期7月

カラタチバナは、高さが20cmから大きいものでも100cmほどの小低木で、あまり日の当たらない林内に自生します。
枝分かれが少なく、葉は厚めで長さが8~18cmの細長い形をしています。
7月ごろ、葉と茎の間から長い柄を伸ばし、そこに白い花を数個つけます。
実は熟すと赤くなり、その赤くなった実を鳥が食べることで、種子が遠くへ運ばれます。

カラタチバナは別名「百両」と呼ばれ、同じように赤い実をつけるセンリョウ(千両)やマンリョウ(万両)と共に、お正月の縁起の良い樹とされています。
江戸時代には、葉に斑が入っているものなど様々な園芸品種が開発され、一大ブームとなりました。
カラタチバナをはじめ、オモトやフクジュソウ、ナンテンなどの植物は「金のなる木」として高額で取引されていました。

現代でも園芸目的の採取が行われており、森林伐採や土地造成とあわせて生存の脅威となっています。
自生地となる丘陵地の林内を整備する際には充分に事前調査を行い、保全につなげていく必要があります。



人字草 ジンジソウ

人字草 ジンジソウ

京都府レッドリストカテゴリー 準絶滅危惧種
環境省レッドリストカテゴリー なし
ユキノシタ科 多年草 花期9~11月

山地の渓流沿いで、湿度の高い岩肌に着生します。
葉は根の際に生えており、掌のように裂けています。
茎の長さは10~35cmほどになり、白い花をつけます。
花弁は5つあり、上の3つが小さく、下の2つは長く垂れています。
この2つの花弁の姿が「人」の字に似ていることから
「人字草」と呼ばれるようになりました。

ジンジソウと同じユキノシタ科の植物にダイモンジソウがあります。
ダイモンジソウとジンジソウの花はよく似ていますが、
ジンジソウより上3つの花弁が大きく、下に垂れた2つの花弁が広がっているため、その名の通り「大」の字に似ています。
ジンジソウは日本でしか見ることのできない固有種で、本州(関東以西)、四国、九州と広く分布しています。

京都市内では、北部地域に自生地がありますが、他の地域ではあまり見られません。
減少の背景には、園芸用としての採集や、林道の拡張・新設があります。



檜扇 ヒオウギ

檜扇 ヒオウギ

京都府レッドリストカテゴリー 準絶滅危惧種
環境省レッドリストカテゴリー なし
アヤメ科 多年草 花期7~8月

日当りの良い山野の草地に自生し、橙色で内側に赤い斑点のある花をつけます。
その名は、葉の出方が檜扇(ヒノキの薄板を重ねた扇)に似ていることに由来します。

7月の祇園祭の間、京の鉾町の家々でヒオウギを飾る習慣があります。
実は秋に熟し、割れると中から光沢のある黒い種子が現れます。この種子は「烏羽玉(うばたま)」や「射干玉(ぬばたま)」と呼ばれます。

万葉集では、花を詠ったものはありませんが「ぬばたま※」は黒髪や夜など黒いものや闇を連想させる枕詞として使用されています。
(※ぬばたまの漢字は奴婆玉や野干玉など複数ある)

また、ヒオウギの根茎を乾燥させたものは「射干(やかん)」という生薬で、喉の腫れや痛みに効果があるとされています。
古くから観賞用として栽培もされてきたヒオウギですが、土地開発が進む中で、海岸の草地と海岸林内の限られた自生地のみが残されています。



九輪草 クリンソウ

九輪草 クリンソウ

京都府レッドリストカテゴリー 準絶滅危惧種
環境省レッドリストカテゴリー なし
サクラソウ科 多年草 花期5~6月

クリンソウは谷間の湿地に群生し、日本のサクラソウの仲間では大型の種です。
寺院の塔の頂上を飾る「九輪」に姿が似ていることからこの名前がつきました。長く伸びた花茎の周りに、2.5cmほどの鮮やかな紅紫色の花が輪状に付いており、その輪が数段重なって咲きます。15~40cmにもなる葉の縁はノコギリのようにギザギザしており、表面にはちりめん状のシワがあります。
小林一茶の代表作『おらが春』の中で、一茶が故郷を思って詠んだ俳句にクリンソウが登場します。

九輪草 四五りん草で 仕廻(しまい)けり

昔から山野草として親しまれてきたクリンソウですが、葉や茎に毒素を含んでいるため、鹿による食害を免れてきました。しかし近年は、毒素を含まない花の部分を鹿が食べるようになり、その数が減り始めています。



藤袴 フジバカマ

藤袴 フジバカマ

京都府レッドリストカテゴリー 絶滅寸前種
環境省レッドリストカテゴリー 準絶滅危惧(NT)
キク科 多年草 花期8~10月

秋の七草の一つで、淡い紅紫色の小さな花が 茎の先に集まる様に咲きます。
刈り取った茎や葉を半乾きの状態にすると、爽やかで快い香りを放ちます。
全草を乾燥させたものは利尿・ 解熱効果があり、生薬としても利用されています。
本州以西の河川の草原などに見られる植物でしたが、河川改修などにより生息適地を追われ個体数が減少しています。

同じ野の露にやつるる藤袴 あはれはかけよ かごとばかりも  ― 第三十帖 藤袴 ―

 

● 京都市右京区水尾地区について

写真撮影地である京都市右京区水尾地区は、JR保津峡駅から4km、愛宕山(924m)の南西に位置します。急な坂道や石垣、水尾川にかけて広がる棚田が水尾の特徴的な風景と言えるでしょう。また、水尾天皇とも呼ばれた清和天皇(850~880年)ゆかりの地としてしられ、かつては山城と丹波を結んだ交通の要所として栄えました。水尾では江戸時代より柚子の栽培が行われ、香り高い柚子が特産品として知られています。

● 水尾での藤袴の栽培について

平成22年より、右京区環境パートナーシップ事業として「水尾の自然環境を生かし、休耕田を花いっぱいにしよう!」という取組が行われ、原種の藤袴を増やす試みが始まりました。今では植栽面積は田んぼ4反分に広がっています。地元の人達の手入れのおかげで、秋には満開の花畑がみられます。またその頃、この花の香りに引き寄せられて、渡り蝶であるアサギマダラの群れが飛来します。今では花畑と蝶を鑑賞するために、たくさんの人が訪れる様になりました。

● 香料としてのフジバカマについて

休耕田に地植えしたフジバカマは、そのままだと背丈が大きくなりすぎ、自重で倒れてしまいます。花芽がつく前、6~7月頃に一度剪定をしておくと、植物にとって負担のない背丈で花の観賞時期を迎えられます。この手入れで刈り取ったフジバカマの葉を乾燥させると、香料のひとつとして活用することができます。刈り取ってすぐの葉は青々とした香りですが、乾燥が進むにつれて、徐々に甘さのある桜餅のような香りに変化します。その後、さまざまな香料と調合することによって奥深い香りを作り出すことができます。



水葵 ミズアオイ

水葵 ミズアオイ

京都府レッドリストカテゴリー 絶滅寸前種
環境省レッドリストカテゴリー 準絶滅危惧(NT)
ミズアオイ科 一年草 花期8~9月

河川敷や水田などに自生し、草丈は20~40cmになります。
水辺に生え、葉形がアオイの葉に似ていることが和名の由来です。

古名を水葱(菜葱・なぎ)といい、古くは肉厚な葉を食用としていました。万葉集の中でもお吸物の食材として詠まれた歌があります。

花の大きさはおよそ2cm。一日花ですが、房のように付いた花が次々と開花するため、開花している姿を長く目にする事ができます。
花が終わると花柄が曲がり下を向きます。そして水中で結実し種子は水中を浮遊します。

かつては水田の畦などで全国的に見られましたが、現在は水路の改修や除草剤、生活排水の流入により激減しています。また一年草で、種子が乾燥すると発芽率が極端に落ちてしまうことも減少の一因となっています。

京都府内では、京都市南域、乙訓地域、山城地域に分布しています。

松栄堂では、長岡京香場付近の水路に自生するミズアオイの種子を発芽させて増やし、保護育成しています。



猿猴草 エンコウソウ

猿猴草 エンコウソウ

京都府レッドリストカテゴリー 絶滅寸前種
環境省レッドリストカテゴリー なし
キンポウゲ科 多年草 花期4~6月

低地や山地の湿地、水辺に生えます。
花の付いている茎(花茎)は、50cm程まで横に長く伸び、この花茎がテナガザル(猿猴)を連想させることからこの名前が付きました。花茎の先に直径2~3cmの黄色い花を付けます。花びらのように見えるのは萼片で、花びらはありません。

葉はフキに似た腎円形で、縁はギザギザした鋸歯のようになっています。 花が終わると、花茎が倒れるように地に付き発根して、横へ横へと株が広がっていきます。また、花の後にできる放射状の実は袋果と呼ばれ、種子が成熟すると自然に裂開し種子が放出されます。

京都府内で広く生息が確認されていますが、湿地開発や園芸目的の採取によって生息地および個体数がきわめて少なくなっています。

現在松栄堂では、京都市西京区大原野で自生していたものを株分けし、保護育成しています。



巨椋河骨 オグラコウホネ

巨椋河骨 オグラコウホネ

京都府レッドリストカテゴリー 絶滅寸前種
環境省レッドリストカテゴリー 絶滅危惧Ⅱ類
スイレン科 多年草 花期6~9月

溜池、河川、水路などに生息し、夏にかけて卵形の浮葉の間から黄色い小花を次々と咲かせます。
コウホネ属の根茎は白く骨のようだから"河骨(こうほね)"という名が付いたとされています。その根には利尿、利水作用があり"川骨(せんこつ)"という生薬として利用されています。

オグラコウホネの名前は、京都南部にあった巨椋池(おぐらいけ)に生息していたことに由来しますが、巨椋池は昭和 16 年に完成した干拓事業 によって消滅しました。
現在では、環境省の絶滅危惧II類、京都府の絶滅寸前種に指定されており、京都府下では長岡京市と中丹地域の 2 カ所でわずかに生息しているのみの大変稀少な植物です。