香老舗 松栄堂

唐橘 カラタチバナ

唐橘 カラタチバナ

京都府レッドリストカテゴリー 絶滅寸前種
環境省レッドリストカテゴリー なし
サクラソウ科 常緑小低木 花期7月

カラタチバナは、高さが20cmから大きいものでも100cmほどの小低木で、あまり日の当たらない林内に自生します。
枝分かれが少なく、葉は厚めで長さが8〜18cmの細長い形をしています。
7月ごろ、葉と茎の間から長い柄を伸ばし、そこに白い花を数個つけます。
実は熟すと赤くなり、その赤くなった実を鳥が食べることで、種子が遠くへ運ばれます。

カラタチバナは別名「百両」と呼ばれ、同じように赤い実をつけるセンリョウ(千両)やマンリョウ(万両)と共に、お正月の縁起の良い樹とされています。
江戸時代には、葉に斑が入っているものなど様々な園芸品種が開発され、一大ブームとなりました。
カラタチバナをはじめ、オモトやフクジュソウ、ナンテンなどの植物は「金のなる木」として高額で取引されていました。

現代でも園芸目的の採取が行われており、森林伐採や土地造成とあわせて生存の脅威となっています。
自生地となる丘陵地の林内を整備する際には充分に事前調査を行い、保全につなげていく必要があります。



人字草 ジンジソウ

人字草 ジンジソウ

京都府レッドリストカテゴリー 準絶滅危惧種
環境省レッドリストカテゴリー なし
ユキノシタ科 多年草 花期9〜11月

山地の渓流沿いで、湿度の高い岩肌に着生します。
葉は根の際に生えており、掌のように裂けています。
茎の長さは10~35cmほどになり、白い花をつけます。
花弁は5つあり、上の3つが小さく、下の2つは長く垂れています。
この2つの花弁の姿が「人」の字に似ていることから
「人字草」と呼ばれるようになりました。

ジンジソウと同じユキノシタ科の植物にダイモンジソウがあります。
ダイモンジソウとジンジソウの花はよく似ていますが、
ジンジソウより上3つの花弁が大きく、下に垂れた2つの花弁が広がっているため、その名の通り「大」の字に似ています。
ジンジソウは日本でしか見ることのできない固有種で、本州(関東以西)、四国、九州と広く分布しています。

京都市内では、北部地域に自生地がありますが、他の地域ではあまり見られません。
減少の背景には、園芸用としての採集や、林道の拡張・新設があります。



檜扇 ヒオウギ

檜扇 ヒオウギ

京都府レッドリストカテゴリー 準絶滅危惧種
環境省レッドリストカテゴリー なし
アヤメ科 多年草 花期7〜8月

日当りの良い山野の草地に自生し、橙色で内側に赤い斑点のある花をつけます。
その名は、葉の出方が檜扇(ヒノキの薄板を重ねた扇)に似ていることに由来します。

7月の祇園祭の間、京の鉾町の家々でヒオウギを飾る習慣があります。
実は秋に熟し、割れると中から光沢のある黒い種子が現れます。この種子は「烏羽玉(うばたま)」や「射干玉(ぬばたま)」と呼ばれます。

万葉集では、花を詠ったものはありませんが「ぬばたま※」は黒髪や夜など黒いものや闇を連想させる枕詞として使用されています。
(※ぬばたまの漢字は奴婆玉や野干玉など複数ある)

また、ヒオウギの根茎を乾燥させたものは「射干(やかん)」という生薬で、喉の腫れや痛みに効果があるとされています。
古くから観賞用として栽培もされてきたヒオウギですが、土地開発が進む中で、海岸の草地と海岸林内の限られた自生地のみが残されています。



九輪草 クリンソウ

九輪草 クリンソウ

環境省レッドリストカテゴリー なし
京都府レッドリストカテゴリー 準絶滅危惧種
サクラソウ科 多年草 花期5〜6月

クリンソウは谷間の湿地に群生し、日本のサクラソウの仲間では大型の種です。
寺院の塔の頂上を飾る「九輪」に姿が似ていることからこの名前がつきました。長く伸びた花茎の周りに、2.5cmほどの鮮やかな紅紫色の花が輪状に付いており、その輪が数段重なって咲きます。15〜40cmにもなる葉の縁はノコギリのようにギザギザしており、表面にはちりめん状のシワがあります。
小林一茶の代表作『おらが春』の中で、一茶が故郷を思って詠んだ俳句にクリンソウが登場します。

九輪草 四五りん草で 仕廻(しまい)けり

昔から山野草として親しまれてきたクリンソウですが、葉や茎に毒素を含んでいるため、鹿による食害を免れてきました。しかし近年は、毒素を含まない花の部分を鹿が食べるようになり、その数が減り始めています。



宿木 ヤドリギ

宿木 ヤドリギ

環境省レッドリストカテゴリー なし
京都府レッドリストカテゴリー 絶滅危惧種
ビャクダン科 常緑小低木 花期2〜3月

ヤドリギはその名の通り、別の木に宿って(寄生して)生きている植物です。
冬に葉を落とすエノキ、ケヤキ、サクラなどの落葉樹の大木に寄生しています。
スギやヒノキなどの針葉樹には寄生しません。
宿主の幹に寄生根をくいこませ、養分や水分を吸い取って成長します。
宿主の葉が生い茂っているときは隠れていますが、冬になり、葉が落ちるとその姿を現します。
11〜12月頃に、直径6ミリほどの半透明の果実を付けます。
熟すと淡い黄色になり、果肉はほのかに甘く粘り気があります。
野鳥が実を食べて、そのフンが宿主に付着することで寄生先を拡大します。
稀に河川沿いや公園の樹木に見られますが、自然の森林にはほとんど生息していません。
保全対策としては、伐木等の作業従事者の意識を高めていく必要があります。



藤袴 フジバカマ

藤袴 フジバカマ

環境省レッドリストカテゴリー 準絶滅危惧(NT)
京都府レッドリストカテゴリー 絶滅寸前種
キク科 多年草 花期8〜10月

秋の七草の一つで、淡い紅紫色の小さな花が 茎の先に集まる様に咲きます。
刈り取った茎や葉を半乾きの状態にすると、爽やかで快い香りを放ちます。
全草を乾燥させたものは利尿・ 解熱効果があり、生薬としても利用されています。
本州以西の河川の草原などに見られる植物でしたが、河川改修などにより生息適地を追われ個体数が減少しています。

同じ野の露にやつるる藤袴 あはれはかけよ かごとばかりも  ― 第三十帖 藤袴 ―

 

● 京都市右京区水尾地区について

写真撮影地である京都市右京区水尾地区は、JR保津峡駅から4km、愛宕山(924m)の南西に位置します。急な坂道や石垣、水尾川にかけて広がる棚田が水尾の特徴的な風景と言えるでしょう。また、水尾天皇とも呼ばれた清和天皇(850〜880年)ゆかりの地としてしられ、かつては山城と丹波を結んだ交通の要所として栄えました。水尾では江戸時代より柚子の栽培が行われ、香り高い柚子が特産品として知られています。

● 水尾での藤袴の栽培について

平成22年より、右京区環境パートナーシップ事業として「水尾の自然環境を生かし、休耕田を花いっぱいにしよう!」という取組が行われ、原種の藤袴を増やす試みが始まりました。今では植栽面積は田んぼ4反分に広がっています。地元の人達の手入れのおかげで、秋には満開の花畑がみられます。またその頃、この花の香りに引き寄せられて、渡り蝶であるアサギマダラの群れが飛来します。今では花畑と蝶を鑑賞するために、たくさんの人が訪れる様になりました。

● 香料としてのフジバカマについて

休耕田に地植えしたフジバカマは、そのままだと背丈が大きくなりすぎ、自重で倒れてしまいます。花芽がつく前、6〜7月頃に一度剪定をしておくと、植物にとって負担のない背丈で花の観賞時期を迎えられます。この手入れで刈り取ったフジバカマの葉を乾燥させると、香料のひとつとして活用することができます。刈り取ってすぐの葉は青々とした香りですが、乾燥が進むにつれて、徐々に甘さのある桜餅のような香りに変化します。その後、さまざまな香料と調合することによって奥深い香りを作り出すことができます。



水葵 ミズアオイ

水葵 ミズアオイ

環境省レッドリストカテゴリー 準絶滅危惧(NT)
京都府レッドリストカテゴリー 絶滅寸前種
ミズアオイ科 一年草 花期8〜9月

河川敷や水田などに自生し、草丈は20〜40cmになります。
水辺に生え、葉形がアオイの葉に似ていることが和名の由来です。

古名を水葱(菜葱・なぎ)といい、古くは肉厚な葉を食用としていました。万葉集の中でもお吸物の食材として詠まれた歌があります。

花の大きさはおよそ2cm。一日花ですが、房のように付いた花が次々と開花するため、開花している姿を長く目にする事ができます。
花が終わると花柄が曲がり下を向きます。そして水中で結実し種子は水中を浮遊します。

かつては水田の畦などで全国的に見られましたが、現在は水路の改修や除草剤、生活排水の流入により激減しています。また一年草で、種子が乾燥すると発芽率が極端に落ちてしまうことも減少の一因となっています。

京都府内では、京都市南域、乙訓地域、山城地域に分布しています。

松栄堂では、長岡京工場付近の水路に自生するミズアオイの種子を発芽させて増やし、保護育成しています。



猿猴草 エンコウソウ

猿猴草 エンコウソウ

環境省レッドリストカテゴリー なし
京都府レッドリストカテゴリー 絶滅寸前種
キンポウゲ科 多年草 花期4〜6月

低地や山地の湿地、水辺に生えます。
花の付いている茎(花茎)は、50cm程まで横に長く伸び、この花茎がテナガザル(猿猴)を連想させることからこの名前が付きました。花茎の先に直径2〜3cmの黄色い花を付けます。花びらのように見えるのは萼片で、花びらはありません。

葉はフキに似た腎円形で、縁はギザギザした鋸歯のようになっています。 花が終わると、花茎が倒れるように地に付き発根して、横へ横へと株が広がっていきます。また、花の後にできる放射状の実は袋果と呼ばれ、種子が成熟すると自然に裂開し種子が放出されます。

京都府内で広く生息が確認されていますが、湿地開発や園芸目的の採取によって生息地および個体数がきわめて少なくなっています。

現在松栄堂では、京都市西京区大原野で自生していたものを株分けし、保護育成しています。



福寿草 フクジュソウ

福寿草 フクジュソウ

環境省レッドリストカテゴリー 準絶滅危惧(NT)
※ ミチノクフクジュソウとして
京都府レッドリストカテゴリー 絶滅寸前種
キンポウゲ科 多年草 花期2〜4月

東日本の落葉樹林の林床や、丘陵地の日当りの良い草地に多く自生しています。
花径は4㎝程で、茎の先端に3つから4つの花を咲かせます。
花色は黄色ですが、花弁の表面が滑らかで光沢があり、光が当たると金色に見えます。葉は、先端が細かく裂けた羽状になっており、ニンジンの葉に似ています。花期が旧暦の正月にあたることから、別名を元日草や朔日草(ついたちそう)ともいい、江戸時代から正月飾りの一つとされてきました。

現在京都府内では、京都市西部および丹後地域でしか生育が確認されていません。全草が有毒であるためシカによる食害は被っていませんが、園芸品目的の採取や、自生地の植生変化に伴う照度不足によって、個体数が減少しています。



巨椋河骨 オグラコウホネ

巨椋河骨 オグラコウホネ

環境省レッドリストカテゴリー 絶滅危惧Ⅱ類
京都府レッドリストカテゴリー 絶滅寸前種
スイレン科 多年草 花期6〜9月

溜池、河川、水路などに生息し、夏にかけて卵形の浮葉の間から黄色い小花を次々と咲かせます。
コウホネ属の根茎は白く骨のようだから"河骨(こうほね)"という名が付いたとされています。その根には利尿、利水作用があり"川骨(せんこつ)"という生薬として利用されています。

オグラコウホネの名前は、京都南部にあった巨椋池(おぐらいけ)に生息していたことに由来しますが、巨椋池は昭和 16 年に完成した干拓事業 によって消滅しました。
現在では、環境省の絶滅危惧II類、京都府の絶滅寸前種に指定されており、京都府下では長岡京市と中丹地域の 2 カ所でわずかに生息しているのみの大変稀少な植物です。